看護師の適性とはどういうものでしょうか。それを現役看護師に尋ねると、最も多く返ってくる答えは「人を思いやる心」です。
現役看護師たちは口を揃えて言います。
看護の知識や技術は、身を入れて仕事をしているとある程度は身につくものだと。
重要なのは、患者さんは何らかの理由で弱っている状態にあり、そうした状況では心も弱くなってしまっているもの。また、患者さんの中には、看護師などに遠慮をして、自分が辛い状態なのにそれを口にしないで我慢してしまう人も少なからずいます。
看護師は、そうした人たちの心の機微にも心を配り、献身的に患者さんに寄り添って看護や介護をすることが仕事です。患者さんのそうした点に気がつくことは、人に対する思いやりの心を持った人でなければできません。
人のために役に立ちたい、人のために尽くしてあげたい。そういう気持ちの強い人ほど、看護師の適性を持っていると言えます。
患者さんも色々います。中には、コミュニケーションを取るのが難しい人もいるでしょうし、もっと言えば、コミュニケーションを取ることを拒む人もいます。こうした人たちに対しても、腹を立てることなく優しい声をかけるなど、支えてあげようという気持ちが必要になります。
看護をするということは、つまり他者に関わりを持つという事にほかなりません。そのために必要なのは、他者に関心を持つこと。患者さんに関心を持ち、優しさと思いやりを持って接することが必要な仕事です。
また、単に優しいだけではいけません。時には患者さんに対して厳しく接することも必要です。特に外傷を負っている患者さんの場合、患部以外のところは至って健康です。
そのため、勝手に出かけてしまったり本来は食べてはいけないものを平気で食べたりする人も少なくありません。こうした人たちに対して、毅然とした態度を取ることも、広く見れば患者さんに対する看護師の思いやりです。
つねに自分に対して、看護師として何をすべきなのか。患者さんに対してどう接するべきなのかを自問しつつ、命を預かる仕事であるということを強く意識して、他者に対する思いやりと厳しさ、自身の看護師としての自主性を持って仕事に取り組みましょう。
近年では高齢化も進み、さらに医療技術の高度化や少子化といった社会情勢を踏まえ、より質の高い看護師が求められています。そのためには、知識と技術はもちろんのこと、患者の状態や気持ちを理解し、患者の立場に立って仕事に取り組みましょう。